あらすじ

西暦1174年、京都、五条大橋、深夜零時――
「そこのお前、その太刀をワシによこせ」

弁慶は笠をかぶり、優美な着物を着た義経(当時遮那王)に向かってそう声をかける。
義経は歩きながら吹いていた笛を止め、立ち止まって弁慶を見る。

「お前か、最近世間を騒がしている夜盗は。何が目的だ、言ってみろ」
「! 生意気な……。女子供に手荒な真似はしたくないが、宿願のためだ。死んでもらう!」

弁慶と義経は激しく切り合い、京の街を駆ける。
深夜二時、丑三つ時。

「ぬうっ……!」

義経の剣技の前に屈した弁慶は、義経に刀狩の理由を告げ
義経は弁慶に、自らの野望を語る。

「……それはよほど、書写山再興よりも面白そうですな」
「だろう? オレ一人では無理だったかもしれん。だがお前のような豪傑がいれば――」

2人は固い主従の契りを交わす。
光が義経なら、影は弁慶。
2人は一心同体となり、この平安末期を駆け出した。


「俺が天下を治めて、何が悪い? 俺が目指すのは源氏の世じゃない、俺だ! 俺の世を作り上げるのさ!」